佐藤眞の作品といえば、“大地讃頌”がなんと言ってもポピュラーであり、歌い継がれる名曲。このイメージが全てと思ったらとんでもない。無調の大きな編成のオーケストラによる圧倒的な熱量と高密度で荒々しい響きの“交響曲第3番”や“管弦楽のための変奏曲”および“管弦楽のための協奏曲”は、シェーンベルクを尊敬する氏の音楽創りの本質を聴ける。そして是非聴いて頂きたいのが“ピアノ協奏曲”。アンサンブル・アンテルコンタンポランで活躍したピアニスト永野英樹の磨き抜かれた硬質のサウンドのピアノに触発されたオーケストラが、叩きつけるリズムを生み出し炸裂し続ける約20分。唖然。